« 6/6コンサートご来場有難うございました! | Main | 【追悼】三沢光晴 »

2009.06.13

公開個人練習090614+カルカス練馬公演を観て

標記の件ですが、15:00~16:00までいつものスタジオサンBスタで練習しています。
気が向かれた方は遊びに来てください。

終了後はちょっと茶でもしばいてから、新大久保で行われているグルーポ・カンタティ教室の発表会をちょっと見てこようかと思います。ご同道される奇特な方は歓迎します。

あと、カルカスコンサート練馬に行きました。
率直に言うと、一般人を連れて行ったので、一般人のカリテ・プリ感覚では「イープラス3000円なら楽しい。定価なら言いたいことがある」水準とのことでした。

<楽しかった点>
・エルメール、ガストンの美声・オーラ健在。これは空前絶後水準。
・覚悟していたよりは「フリオ・イグレシアスもどき」の曲のほかに、全盛期風演奏(ボンボいまいちだったがカルナバルグランデ、など)もあり、日本市場への配慮は感じられた。かなりソリッドな演奏姿勢ではあった。
・いわゆるヒット曲は流石に乗せてくる。またスターオーラむき出しで執拗に客席に歌わせる姿勢が、フォルクローレ関係では屈指のプライドを感じる。
・へんなMCがなく、背中のかゆさはない。

<いいたいことがある点>
・カルカスはフォルクローレの枠内のグループでなく、「フォルクローレ出身のポップスチームとしてボリビア音楽市場最大の存在であり、他のジャンルのポップスチームに対抗する演奏をする必要があるグループ」であるためにラテンポップス的アプローチをするのは当然であるが、ダンス系今風ナンバーはまだしもフリオイグレシアスもどきはやはり事情を知らない人間にはTOO MUCH。シリアス系好きのフォルクローレ消費者にとっては「楽しいが、心に残らないサウンド」
・ドラムとベースの存在も同上だが、やはりリズム活性の劣化は最盛時に比べて著しい。というかリズム楽器までフロントラインでこなしてアートとポップスのぎりぎりのグルーブを出していた全盛期が神だったのでしょう。
・スペイン語がわからない人間にとっては、一部メンバー紹介さえわからないという問題点。これは雑誌を買えということなんでしょうかね。宍戸氏の責任を追及するのは酷でしょう
・客席脇で、踊りきれずに立っていた人たちは何?仕込み?
・遅れていったところ係員の誘導などなし。この定価でそのサービスってどうでしょう?

…フォルクローレ界のネットでのコメントを見ると、事情通ほど「そうは言ってもカルカス公演は成功してほしい」との思いで、「とりあえず観に行け」というコメントが多いように思われます。成功してほしい、という気持ちは私もカルカスコンクール参加時からずっと同じ気持ちです。それに自分はコンサートを(少なくとも2部は)大変楽しんだのも事実です。

ですが、フォルクローレ的音楽を演奏している者としては、演奏はしないけどカルカスが大好きな人の「この演奏はなんなんですか?」という疑問や、練馬会場で3,4曲目で自分が入場するときにすれ違った実年層以上の男性の「前よかったから期待していたけど、雑音だらけで聴いていられないよ!」と吐き捨てて退場していった姿勢(これらの方は、お金を払って聴きに来た人たちです)に対する説明義務があろうかと思い、同行者の意見などを参考にしつつ率直な感想を書いてみました。

自分は亀戸公演、もう1回観てから演奏的なところの評論はしようと思います。まずはコンサートを楽しみたいと思っています。
…「お前みたいなちんぴら演奏者が何をえらそうに」と思われる方が多かろうことは重々承知していますが、この音楽世界を盛り上げるには率直な情報発信と議論が必要と思い、宝塚などを評論してきた自分のキャリアに忠実に書いてみました。一定数の方の理解がいただければ幸いです。

(追伸)DAIJITOのHPにこちらの記事を紹介いただきました。篤く御礼申し上げます。音楽に対して率直に評価されているDAIJITOの文章はこちらで見られます。

(追伸2)以上の見解はすべてYOSHIOの責任のものでございます。ちなみに相方は「かなり楽しかった」という評価で、「前回来日から6年ごとぐらいで来てくれればフォルクローレの楽しみ方の一スタイルがもっと浸透しただろうに」との意見でした。見解は異なるものの、やはり大チームであるカルカスの来日はいろいろな感慨や印象を喚起させるものであるなあ、との感嘆とともに簡単な報告を申し上げます。

|

« 6/6コンサートご来場有難うございました! | Main | 【追悼】三沢光晴 »

Comments

YOSHIO様。
学生交流会時代からお世話になっているYANA_です。お久し振りです。
昔木下さんのワークショップで、池袋のスタジオで毎月のように顔を合わせられるのが楽しみだったのが、もう10数年前になってしまうのでしょうか?その後はイベント等たまたまちらっとお会いできるくらいになってしまいましたね。
最近カルカスの公演の情報やコメントなどを調べているうちに、ここに辿り着きました。お元気そうで嬉しく、日記などとても楽しく拝見させていただきました。
私も練馬の公演を観ました。
YOSHIOさんのコメント、客観的かつタブーにも斬り込む辛口評もあり、率直に言って共感できることが多いです。
そんな刺激を感じ、今回私もステージを観て感じたこと思いついたままに書こうと思い立ちました。
不適切な部分ありましたら、削除してください。

大学のサークルでフォルクローレと出会ってからもう20年近く、最初に観たコンサートが、カブール(90年秋)、そしてカルカス(91年春)でした。ウリーセスが病に倒れ来日できなかったのは残念でしたが、あの時のコンサートの興奮と感動は今でも忘れられません。
学生時代の半分くらいはカルカスの影響を受けていたといってもいいほど夢中になって聴いていました。もちろん今でも大好きです。
92年に踊りを始めて以来、フォルクローレにディープな知人も得たおかげで、ボリビアの古い埋もれた音楽なども深入りして愛聴するようになりましたし、数年前にはラパスに長期滞在して、それまであまり興味がなかった最近のボリビア音楽事情もよく知ることができました。音楽に身を任せて踊る楽しさを知り、またカルカス(に限らずほかの音楽にも)に対する評価や位置づけの認識もガラッと変わっていったのをよく覚えています。
カルカスがラパスのスタジアムでコンサートをした後の寒い夜、ライブハウスでの演奏を運良く至近距離で聴けたことがありました。
リーダーのゴンサロが従える彼らは全然疲れも見せずに、当時(04年)の新曲も混ぜつつも、あの永遠ともいえる名作をエルメールやガストンが歌い上げていったのです。クティムイ、小さな愛、時を経れば、彼女なしでは、泣きながら、そしてボリビア…聴いているうちに涙が止まらなくなりました。
それは今でもレコードを聴くとき、心を揺さぶられ同じ気持ちになれます。

で、そう言った経緯などを踏まえて今回の公演は、どうだったかというと、良かった部分もありますが、正直物足りなかったという感想です。
・選曲がおかしかった。明らかに一部の愛好家の期待するレパートリーが多く演奏された感が否めず、興冷めする一因になった。もっと新メンバーの参加する最新のアルバム曲をどんどん聴かせればよかったのでは。どなたが曲を選んだのでしょう?
・ダンス系ナンバーでお客も踊って盛り上がるのは、ここ最近の来日公演では見られなかった大きな変化で、注目に値できる。しかしカルカスの公演でその流れのまま押し切って終わらせてしまったのは、いかかなものか。あなたなら、「イミジタイ」と「ボリビア」のどちらをアンコール最後の曲で聴いて、帰りたいですか? 私は踊るのも好きだし、ダンスパーティーで3年DJやって、カルカスの新曲もたくさん掛けて皆にいっぱい踊ってもらった。でも同時に私は古いファンでもあります。の素晴らしい曲をもう一度生で聴いて、心に焼き付けさせてほしい。客席で手拍子するのも勿体ないほど、大きな音の中耳を凝らして演奏を聴いていました。プロクラムを買わなかったので、次は何の曲か、とどきどきしながら待っていたのです。「ボリビア」を聴けずに落胆して帰った私の気持ちを果たして幾人共感してくれるでしょうか?
YOSHIOさんの指摘された、「楽しいけれども、心には残らない」という言葉通りです。残念でした。
・カルカスの将来像が見えない。ウリーセス死去の後、カルカスが大きく変わったことは皆さんの方がご存じでしょうから説明の必要がないと思います。コンサートではカルカスが自分たちの立ち位置を示すとともに、これからの方向性をもっと印象付ける必要があったと思います。アレンジやサウンド、パフォーマンスなど目に見える部分はパワーアップしているように見えますが、トータルで考えると後退している感じも受けました。トップ二人の歌唱は全く衰えなく素晴らしいものでしたが、カルカスのあの魅力的なコーラスはどこへ行ってしまったのでしょう?それどころか若い3人はほとんど(歌の)ソロパートを取らせてもらえません。ゴンサロJrはエルメールばりの見事な美声を持っているのに、言葉は悪いのですが下積み扱いという印象を受けてしまいました。かつてエドゥウィンやフェルナンド(二人とも既に大物でしたが)がグループを活性化させたように、今の若手3人による新作品などを積極的に採用すべきなのでは?かなり大事なところだと思うのですが、今回その辺が全く見えませんでした。若手を後継者とみているのか疑問です。まだあるのですが、長くなってしまい、以上にしておきます。

Posted by: YANA_ | 2009.06.15 02:28 AM

YANA様、コメント有難うございます。こちらこそお世話になっております。

確かにYANA様と知り合ってからもう15年は超えますね…当時カルカスは圧倒的に光り輝いていたイメージがあります。

私とも異なる視点も織り交ぜられつつの、率直なコメント有難うございました。
…カルカスコンサートについえは「とても素晴らしかった」ですませておくのが一番お利口さんな姿勢なのかもしれないとは思いましたが、自分のコメントの主旨にレスポンスくださって本当に嬉しかったです。

また今後ぜひ語りましょう。ネット社会のこのご時勢、率直な意見交換や情報交換なしの「お約束」に基づく運営をする社会の維持はかなり困難になっているはずです。

…とはいいつつも、カルカスコンサートにまだお越しになっていないフォルクローレ演奏関係の方は、いろいろありつつもボリビアフォルクローレのレジェンドであるカルカスを、話の種でもいいのでぜひ1度ご覧いただきますよう、改めましてお願い申し上げます。これはYANA様も同じお気持ちかと拝察申し上げます。

Posted by: YOSHIO | 2009.06.15 10:39 AM

YOSHIO様、
あたたかいお返事ありがとうございます。

書いたコメントを読み返して、あれっ少し辛辣すぎたかな?と思いつつ、でも言いたいことがたくさんあるだけ、彼らのすごさを認めざるを得ないんだな、ということも再認識させられます。

夜、カルカスのCDを聴き直しました。
「ボリビア」を聴いて、何か胸がすっとしたような気がしました。
こういうのもありか、と少しは思わなくてはいけませんかね。
18年も経てようやく、その機会に恵まれたのは確かですから・・・


近いうちに語りあう機会が訪れることを心待ちにしております。

YANA_より

PS・公演明日がラストですか、ボリビア聴けるといいですね。

Posted by: YANA_ | 2009.06.15 11:31 PM

ご無沙汰しております。以前フェルナンドのコンサートの件ではお世話になりました。ブログは読んでいたのですが、音楽のことはよくわからないのでコメントできなくて申し訳ありませんでしたm(_ _)m。カルカスのコンサートは今一歩というところだったのでしょうか!?私は病気でドタキャンして行けませんでしたが「2人以外は・・・」というコメントでした。ちょっとさびしいですね。テレビのインタビューはフェルナンドが通訳したそうですが。今回はアミーゴスの依頼で個人的に受けた人もいるからいたらない点があったのかもしれませんね。

Posted by: ゆきんこ | 2009.06.23 05:00 PM

ゆきんこ様、ご無沙汰しております。

カルカスのコンサートについての評価は、取り合えず行かれた方個人個人でおありだと思います。今ひとつというか、「もっと違うものが楽しめたのでは」と思う人と「楽しかった」という人に分かれるようです。

通訳の問題は、東京の公演においての話となりますが、いちいち通訳兼司会を介さずに進める演出がスタイリッシュであったという見方と、スペイン語オンリーの公演では途中でなんだか分からなくなってしまった人が出たという見方があろうかと思います。宍戸氏が通訳を期待されていたのかもしれませんが、少なくとも通訳に専念するわけでもない以上期待するのも酷なのか、と私は思いました。

亀戸公演では、アンコールでBOLIVIAを演奏していて、私は手拍子もせずに立ちすくみながら聴いていました。何かが劇的に変わったわけではないのですが、練馬よりは楽しんだ気がしています。ただエルメールの体調とドラム奏者のワンカラはだいぶいまいちでしたが…。(エルメールはそれでもプロ根性で感動させてはいました)

私のブログは普段は身辺日記や活動記録程度ですが、気が向かれたら遊びに来てください。

Posted by: yoshio | 2009.06.24 09:24 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 公開個人練習090614+カルカス練馬公演を観て:

« 6/6コンサートご来場有難うございました! | Main | 【追悼】三沢光晴 »