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2010.02.01

1月の公演評+フォルク関係情報+おまけ

1月に観た「フォルクローレ」的音楽ライブの感想を少々。

●1/7(木)青木大輔・笹久保伸・森川拓也によるフリーライブ(南青山マンダラ)
…前半の完全インプロビゼーションは、青木氏がサンポーニャを持ち替えずに勝負するという、対応和音に限界を設ける心意気にしびれた。青木氏は吹き込みながらオーバーブロー奏法で倍音を出し、さらに雅楽的な旋律も進行させるなどの技を繰り出し観客を驚嘆させたが、前半といっていい部分でその大技を駆使したため、中盤~後半での展開の手を欠きフリーズしながら旋律を探す場面が出ていた。またPA的には、空気音をあまり取らない仕様であったことでサンポーニャでの音レンジ制圧が困難であったため、旋律楽器としての操作性に弱点を持つサンポーニャの限界が若干露呈したとはいえよう。
 (なお伴奏者は青木氏とともにドライブしていたといえ、時々ギターの枠を崩して展開に曲がり角を作る笹久保氏の誘導や、冒頭の単音不協和音攻撃でイベント感を出していた森川氏のアプローチが有効だったと思われる。)
 しかしこんな試みを、一定の水準で客を退屈させない形でやってのける度胸とスキルを持つ青木氏は、日本のフォルクローレ的シーンに強烈な殴りこみをかけたといえるであろう。後半、意外とフレンドリーな曲演奏もあったため「曲順がこれでよかったのだろうか」という話もあるが(個人的には2曲程度フレンドリーにやってからインプロを浴びせ、最後になに食わぬ顔をしてメジャー曲でフィニッシュというTHE WHOのワイト島ライブみたいな展開を希望)、青木氏には今後とも狭く深く厳しいサンポーニャ奏者として、ぬるい業界に肘打ちを入れてほしい。また自分も、40分のインプロが持つケーナ奏者になるべく精進したい。

●1/27(水)岩川光・智詠によるタンゴライブ(赤坂「CASA CLASSICA」)
…昨年東京進出した新進のケーナ奏者によるライブ。今回のテーマは「アルゼンチン」ということであり、ピアソラなどのタンゴ曲や現代音楽家(アルゼンチンは南米では屈指の現代音楽家輩出国らしい)の曲などが中心であった。演奏はリコーダー、ケナーチョ、ケーナが1/3ずつぐらいのイメージ(自分が見た1ステラストからでは)。
 ベスト演奏は「Huayno-T」。一般ケーナ奏者が「ジャズ的なのもできます」ということを証明するために演奏することが多い曲だが、前半の弱音部分がネックになりやすいところ、弱音から強音への転換などがしっかり現代音楽していてよかった。他にはミロンガやピアソラ曲における智詠氏の活力ある演奏が前面に出ている箇所が非常によかった。全般にクラシック的アプローチがはまるハコであったこともあり、岩川氏独自の音域やレンジへの配慮がよく表象されたライブではあったと思う。
 一方、「ブエノスアイレスの夏」などがリコーダーで演奏され、リコーダー演奏自体は前回DAIJITOのコンサートの際聴いたときよりも活発な音操作にシフトしていてよかったが、ケーナとリコーダーの使い分けの定義や、リコーダーをプロとして演奏することがどの文脈でどう正当性を持つか、という点に今後配慮いただければというのも率直な感想である。

氏のケーナ演奏は、低音をメインとし高音をほとんど張らない演奏であったためギターの音が良く聞こえるが、ケーナ奏者としては「ブエノス…」などの運動量の多い曲をどうこなすか、などが非常に興味があった。今後ぜひお願いしたい。ケナーチョのほうが安定的に魅力ある音が出ているように聴こえるため商業的なニーズはあると思うが、自分はそこよりもむしろ、トリルなどを駆使するケーナでどんな世界が出るのか、またケーナは音を張ってオーバーブロー風にしないと「フルートでなぜやらないんですか?」という質問を受けやすい楽器にも思うが、その質問を粉砕する解答が出るのか、などについて今後興味があるため、ケーナ奏者としての氏の今後を見てみたいと思う。そして、ここに書いたような質問は自分にも襲い掛かることを想定して、自分も演奏を自分なりに研いでいきたいと思う。

(おまけ)両ライブとも、現役プロ奏者の人とご一緒した。フォルクローレ演奏者にとって、ただの観客でもそれなりに突っ込んだ音楽的トークができるチャンスがあったわけで、もし東京ゾーンにいらっしゃる方でしたら、若干でも気が向かれたら、たまにライブを聴きにいくというのはいかがでしょうか。まあ私も可能な範囲でマメに行きますので、お目にかかったら絡んでいただけますと幸甚でございます。

●沖縄県那覇市のライブレストラン「あまんかい」のブログは、コスキン情報の宝庫です。興味がある方はチェックされてみてはいかがでしょうか。
2/13(土)、自分も夜遊びに行く予定です。沖縄に行かれる方はぜひご一緒しましょう。メールいただければ詳細案内など送ります。他には沖縄音楽の根源を研究している部会のレクチャーライブなどを観に行くつもりです。

●木下尊惇さんのワークショップのお知らせをいただいたのでご案内申し上げます。
2月28日(日)

木下尊惇「新・ワークショップ」
第4回 モレナーダ「郷愁のモレナーダ」

東京・アカデミー音羽多目的ホール
(文京区大塚5-40-15)
開場13:30  開講 14:00 (17:00終了予定)
¥1,500.-
ご予約・お問い合せ/ タカタカオフィス takataka-office@mvh.biglobe.ne.jp

…自分は行く方向で検討中です。

●他には2/20のノチェーロなども検討してます。

●仙台チャランゴフェス、何らかの手法で参加を検討しています。

●EL SOLITARIO(ソロライブ)、4月にやろうかと検討しています。少々悩んでいましたが、何らかの形で続ける所存です。

●フォルクローレではないのですが、「12/26-31の日記」にて年末の英国旅行記など更新しています。気が向かれたらご笑覧ください。

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