10/8/24の日記(マリアナ・バラフ感想含む)
●8/24(火)
昼は「デイライトキッチン」(〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町23-18ビジョナリーアーツ1Ftel.03-5728-4528 fax.03-5728-4529)へ。食べているとやせそうなメニューだが、味は思ったよりまともであるし鶏肉関係は実はボリュームもそこそこ。しかしつゆだけは刑務所を連想させる味。
その後サンドイッチハウスIZでカロリー追加のサンドイッチ、さらにスタバで惜別のゆずフラペチーノ。味はいいのだが氷の分離が早すぎなのがマンゴー系よりも劣るポイント。
終了後しぶそばで夏野菜ひやしそばとおにぎり1個、さらに神戸屋でフィッシュサンドを買い食いして外苑前へ。
マリアナ・バラフ MARIANA BARAJ 来日公演(ゲストはアリエル・アッセルボーン)。
公演までのイメージは、アルバムDESLUMBREにあるような「プリミティブででもプログレッシブで妖しい魅力の女性アーティスト」、つまりファン。
感想や気づいた点を箇条書きで。
・声(低音と中音、およびその切り返し。高音はラストのJatun Illimani以外はいまいち)の説得力はアルゼンチンのテイストが濃く素晴らしい。
・パーカッションは、チャフチャスの切れや「ボンボでアフロなリズムを出していたがいつの間にかサヤ風に」というスリリングな展開があった箇所は素晴らしかったが、他は万人をねじふせる水準ではないのでは。アフロ系のリズムの愛好者からは「アルゼンチンにも似たリズムがあって素晴らしい」と狂喜する展開もあるのかもしれないが、そうではなく「アルゼンチン固有のリズム感を持つ演奏者がアフロリズムを叩いた」というのが実情では。ただラテンのパーカスを使わないあたりに「とにかくプリミティブに、濃く」という志向は感じられよかった。
・ループなどのエフェクトは、効果的な局面もあったがノイズ増大などもあった。多用しなかったのは正解と思う。
・マリアナ・バラフのスタンスは「フォルクローレベースのスキルをかなりリセットしながら、とにかくプリミティブな音楽の魅力を引っ張り出す」という勇者のように思われ、ライブを聴いていて蛮勇に思われる箇所もあったが、全体的に非常に支持できるところである。よってすべての楽器にどこかアマチュア感があるのが逆に素晴らしいと個人的に思ったのだが(曲のアレンジもぶった切った終わり方などが激しくアマチュア的。ただ曲間のつなぎや楽器の集音まで素人っぽいのが4700円の入場料にマッチするかは不明)、そういう評価が「LATINA」読者的な文脈で正当なのかどうかは不明。来場客に日本のフォルクローレシーンの人物をほぼ見かけなかったことも考えると、たぶん自分の感想のようなものは「音楽的偏差値が低いバカのタワゴト、だからヲタケーナ奏者は」などといわれる類のものであろう。しかし自分の自腹でライブのみならずアルバムを聴いた人間として、ツイッターなどで「~に音源サンプルを貰って聴いています。このアルバムは買うべきですね!」とか論証も臆面もなく書いて自分は金を出さない、日本フォルクローレ界よりは広いといっても狭い世界の選良きどりのタコ音楽ライター風情にだけ言わせておくのもなんなんで正直に感想を書く。
・曲のアプローチとしては、メルセデス・ソーサをより攻撃的にした感じの「Dona Ubensa」や、DESLUMBREに収録されている「Ya viene la triste noche」あたりが、フォルクローレ的な要素から聴いた自分としてはこのライブのてっぺん。この2曲を聴けたのは幸運だったと思う。
・アッセルボーンのオープニングアクトのギターソロ曲は「出だし単音とハーモニクスで情景描写風~途中旋律展開でギターのキレみせ~ラストはマランボオマージュ」というのがBGMクオリティで炸裂して、浮いてかぶりぎみのエレアコ音とあわせて今年聞いたギターソロの中で一番厳しかった出来。伴奏はまさかのチャランゴGJを含め、突っ込んだりのばしたりが散見されるマリアナの歌の支えをそれなりにこなしていたが、「Ya viene…」では途中でハイコード展開をしてリズムを壊しかけたのは残念。もう少し伴奏者がいてもよかったのでは。
・ここまでの話でも述べたように、不慣れかつ準備不足のPA、イリマニ山も知らないようなあまりにも雑な通訳も含めた事務所の手配力やコンセプトワークのしぼれなさ、一般客への案内の少なさなどのホスピタリティのなさぐあいは、かつて批判したアミーゴスがまだましなんじゃね?と思わせる水準。ただ終了後のサイン会でアルゼンチン式挨拶までしてくれたマリアナの誠意というか人間的な素晴らしさは、その音楽的アプローチのバリアのない魅力も含め理解できたので、その人間的な側面と音楽的な妖しさをもう少しアピールしたステージでまた会いたいな、とも思うし、ブエノスアイレスなどに行く機会というものに恵まれるならばぜひ演奏とお話をまた伺えればとも思う。
(マリアナ・バラフを呼んだ事務所にはそれでも感謝の意はあるし、ご本人には来てくれてありがとう、という気持ちだけですませようとは積年のファンとしては思ったが、一応「南米音楽の魅力を多くの人に伝える」ためのスジ論として。)
帰路西葛西庄屋で小1時間語ってから帰宅。帰宅後「進化しすぎなかったことで変化を乗り越えた哺乳類の話」を見て「ただ上手くなったり知識をつっこみすぎることへの懸念」を裏書された気分になったりしながら就寝。
Comments
YOSHIOさんは凄いな・・・。
積極的にいろいろな音楽を聴いて、自分の糧にしてる。
“マリアナ・バラフ”って、初めて知った。。。
Posted by: Caneton | 2010.08.25 06:09 PM