11/6-8の日記(笹久保伸、Berryz工房、宝塚月組)
●11/6(金)
夜とっとと所用を済ませて三軒茶屋、デニーズの上にあるホール「サロン・テッセラ」にて笹久保伸氏の単独コンサート。5000円は正直高いが、会場はホールというよりもお金持ちのプライベート・コンサートという感じの出る、それでいていやみのないよい空間。休憩時のドリンクサービス時などのエセでないサロンコンサート感も、ふだんその手に過剰拒否反応する小生が納得できる水準。
音響も強めのクラシックギターを聴く空間として文句なし。
演奏演目は高橋悠治氏作曲の曲など現代曲がメインで非常にスタミナを消耗する演目。
この日の演奏では「血清学的 ララ」でギターのありがちな要素を完全排除した旋律展開を積み重ねてくる強さを、「2つのリディア調の歌」では西洋的憂愁とエスニック的な彼岸感で世界を広げてみせる様子を前半で、後半でこれまでよりもさらに重鋭いギターの中低音で押し捲りながらも情感を見せ、この2曲セットが自分としてはてっぺん。あとアンコールの「エルメ」の重さと透明感の融合も凄かった。
全般に、これまで拝聴した中でもトップ3に入る演奏であり、ペルー音楽と現代音楽、といったジャンルのラベルを止揚し完全に一つ段階を上げてきた演奏者としての凄みを痛感させる水準であり、価格の問題はあるにしろ、スペシャルなライブであり、聴けた幸運を素直に観客として喜べる内容であった。
また3ヶ月ほどペルーにて演奏されるそうだが、氏の帰国後のライブは要チェックだと思います。
計9曲(メドレーあり)で2時間を越えるライブの後、一緒に聞いていたプロフォルクローレ奏者の某氏(気を遣って名前を伏せました)と「バンコク酒場」(03-5481-1818)でビールと食事。@3000程度。ティーヌン系列ということで薄い店かと思ったが、入口がわかりずらい上に店の雰囲気はタイ度高くかなり面白かった。ここでも濃い話をきっちりと。半蔵門線の錦糸町までいく終電に乗り帰宅。帰宅中にらーめん一丁でまたも味噌ラーメン。
●11/6(土)
昼水道橋「浅野屋」(03-3291-4327)天もり大で大満足してから「I-Kousya (アイコウシャ) 」(TEL 03-3291-4102)でハンバーガーをはしご。
その後Berryz工房ライブ初日(@JCBホール)を先導者の先導で。ステージと客席の距離が近い。
このライブではロックフィーリングがシャウトエフェクトなどにも貫徹している「フラれパターン」~アンビエント風かつ理知的要素のあるピアノを織り交ぜたトラックを使った「君の友達」~甘さ控えめのトラックとせつなさを出した歌唱の重ねがよい「MOON POWER」のブロックと、フォークロアな笛サウンドのトラックに乗せた変拍子ダンスがさまになっていた「あなたなしでは生きてゆけない」が自分にとってのベストパフォーマンス。
ロック的表現力のある菅谷梨沙子を筆頭に歌唱・ダンスともに鍛えられている様子と、音楽的偏差値が上がると客ノリがいまひとつそうな現状を垣間見る。「考えるヒット」で近田春夫にくさされがちなシングル曲に比べると、ここに上げた曲は音楽やっている人間なら何かを感じる水準に到達しているだけに、もったいなさも感じる。あと存在の否定はしないが、外部である自分にとって、小芝居は結構しんどい。
先導者について終了後舞台裏挨拶に。自分は一言も発せず。近くで見かけると全員鍛えられた美少女であることを認識させられ、芸能や舞台の世界の厳しさを改めて感じる。このクラスでもずっとテレビに出たりして誰でも知っているという水準まで名前を売るというわけにはいっていない以上、自分たちなどに舞台上のペース配分やらかけひきなど許されないなということをまた再確認する。
終了後帰宅してさわらのあらなど購入して家で焼いて食べる。
●11/8(日)
11:30からの回で宝塚月組「ジプシー男爵」「ラプソディック・ムーン」を見る。
「ジプシー…」のほうは、ハンガリー人とロマを争わせて笑うオーストリア、とか、徴兵に応じさせるためのワインやら唐突な国防テイストやら、とかそもそも「ジプシー」という名称とかの使い方が、むりやり現在演目にするに値するのかという疑問がある原作の内容であるが、豚を抱えながら演じきることで「これはフィクションですよ」ということを明確に示しながら生身の人間に見せるスキルのある汝鳥伶、軽い貴族で同様のスキルを発揮する越乃リュウ、気高さとお笑いの両立をやってのけて色気さえ感じさせる花瀬みずか(自分は花瀬ヲタかもしれない)をはじめ、このような脇の甘い作品世界で作りこむことには定評のある月組組子、そしてトップとしてその作りこみにのっかる度量のある霧矢大夢によって、なんか懐かしい感じの「みんなみんないい人ばかり」の集団劇に仕上がっていた。オールドファンなら納得度高い舞台だと思うし自分も楽しんだが、一方で「とにかく若干鬼畜なテイストのある男役スターをかっこよく」という舞台空間ではないので、スターの格好良さを主食とするタイプの宝塚の観客に熱狂を誘うものとなっているかというと「?」でもある。見る人によって評価の分かれる作品だと思う。
演出の谷正純は、むりやり出演者を全員殺すことでドラマトゥルギーを強化するなどの強引な演出が目に余るケースがあるが、これは比較的温和で許容範囲。ただし現在のロマ問題への視座などを求めるのも、彼の世界観察能力からみて筋違い。宝塚は無理やり時代に追いつく必要もないが、時代の完全否定も劇団としての不活発化をもたらしかねないので、谷クラスの演出家には「商業演劇の範囲内で、時代の風を吸わせる」レベルの工夫を求めたいが、下手なことをやられるよりは今回のレベルでよしとしなくてはいけないとも感じる。ただし、今回の舞台はどうも出演者の工夫でむりやりしのいでいるような雰囲気を感じるのは邪推だろうか。
音楽は、劇団が自分でいうほどロマテイスト強固なわけではないが、第6場「朽ち果てた城跡」での金管楽器の高速展開での音のラリり具合が期せずしてとてもロマっぽかったように聴こえた。
ショーのほうは、ロングドレスの捌きや背中の反らせ方などに「金を取れる」レベルの実力を見せた蒼乃夕妃にびっくりしたが、おおむね無難な感じ。エトワールの花陽みらが、超音波的音を出すことがエトワールの資格と考えているような感じでイラっときた程度。最近このタイプのエトワールが多く、技術と表現とかいうことに思いを馳せる。
終了後アマンドで茶をした後船橋「アッサム」でカレー。18時からスタジオSUNで練習。
夜はぶり刺身など。
Comments
それにしても3日間で①現代音楽系ペルー音楽②ハロプロ③宝塚ってあんたは精神分裂症か。まあハロ地獄=天国に引きずり込んだのはやつがれだけど。そうそう「近くでみる熊井友理奈(16歳公称176cm)は絶世の美女」を書き漏らしているだろ。
Posted by: 先導者 | 2010.11.10 06:37 AM
先導者様、土曜日はお世話になりました。コメント有難うございます。
…確かにちょっとアレな並びかもしれませんが、自分としてはそれぞれそれなりに関わってきたことが並んだ成果であると認識しています。
熊井さんの件は、自分は挨拶時にそんなに顔を見ていないもので…やっぱり近くでみると何ゆえか足が震えるですね。ダサイです。嗣永桃子さんの抜けるような白さも印象深かったですが、やはり顔はあまり見られていません。
Posted by: Yoshio | 2010.11.10 11:45 AM