手短にライブ評(KOJI+とぽけろっちぇ)
●KOJIソロライブ(12/10、雑色・カレー屋さんとそば屋の店)
自分は2部のみ。ipodを鳴らしながらリードギター部分(+歌)をやるのはずるい、という音楽関係なら思うであろう感想に賛同はするが、「自分の成長のためにソロライブをなんとかやりたい」という勝負根性をむしろ買う。
さらに、ある意味楽屋を見せながら演奏しているのに退屈させないステージングは、かなり勉強させてもらったし多くの南米音楽関係者にこの「度胸」を見てほしいなとも思う。
演奏はクラシックからフラメンコ、南米、オリジナルの歌と極めて雑食だが中南米的マインドの強さ(迷いが出る箇所ではより強いタッチでグルーブを作っていく、などの様子)と、アンコールのケブラデーニョなどに表出しているラテンのりをしのばせたフレンドリーさが満員の集客に結びついているのだと認識。
舞台に上げていただくが不得意極まりない歌と仕込みなしのケーナによる「きよしこの夜」で爆死。迷惑をおかけしました。音楽関係ならクリスマスの仕込みぐらいしなくては、である。
今後、アーティストとしての緊張感あるスキルと、今すでに表現している楽しさのせめぎあいをもっと高いレベル目指して頑張られるのであろうし、それをまた拝見する機会があればと切に願います。自分も川俣コスキン族として頑張ります。
また遊びに行きます。今度は自分ももう少しグレードアップしてまいります。
●とぽけろっちぇ(12/14、渋谷公園通りクラシックス)
山下topo洋平氏、会田桃子氏、智詠氏のトリオ。
一人ひとりのスキルは自分が論評できる水準でなく素晴らしく(日本代表レベル)、各所にちりばめられたソロだけで十分価格相応の満足をする内容。
ただし、チームとして有機的かといわれると正直微妙。
コンディション的には、山下氏のケーナが前半はすっぽ抜け気味(コンドルの時のシの音が不確かだったのは、日本を代表する名手としてなんたること)だったが後半は極めてよかった一方で、会田氏のバイオリンが後半の「EL ARENAL」あたりでだいぶ音圧が下がってきて、前半からのよかった流れがとまった感じ。
コンサートとしては後半1曲目の「さいはて」と続く「Milonga Setenta」がてっぺん。前者はベタな曲調だが一番バンドの有機性が感じられた。このベタな感性でぜひゲーム音楽などに殴り込みをしてほしい(ゲーム音楽には画面によりそうベタさが絶対必要なはずなので、単体で聞かせる水準を叩き出すこのトリオなら絶対はまるし、新た棚鉱脈の開発につながる)。2曲目は山下氏のケーナが一番狂気性を帯びた時間帯ですごかった(ただ場の雰囲気的にハッピーにまとめるのが、笹久保伸氏とのタルカセッションなどに痺れた当方としては不満)。氏の一番の勝負曲であったろうホルヘ・クンボの「LA ANTIGUA」は、ホルヘ・クンボ(の持ついい加減さ)に納得できない小生がまったく感動しなかったのは小生のせいです。すみません。
智詠氏のギターはさすが、という展開箇所や珍しいぐらいのリズムの奔出も多々あり御得だが、一方でちょっと荒い箇所と、さらにいえばストローク時の低めの音があまり響かないようなPAが若干の不満ポイント。
ただし、氏のMCの腰の低さは多くの南米音楽関係者の範とするべき水準だと思います。2ヶ月ほど南米修業されるそうですが、帰国後の氏の演奏とステージングが凄く楽しみです。
僭越ながらいちロートルケーナ奏者としてのジャッジでは、山下TOPO洋平氏のユニットの中で、ケーナの奔流を楽しむのは「Tierra Cuatro」がベストだと思います。少なくとも自分は今回のライブを聴いて「次はTierra~に行こう」と思いました。
ただし、山下氏のケーナはとんでもなく技術的に高水準であることは間違いないです(ダルビッシュ級。ちなみに自分は最大限に甘く評価して朝井レベル)。ケーナ奏者である人にとって、これだけ多くのライブをこなしている氏のライブをどのユニットでもいいので年数回聴くことは有意義以外の要素がないと思われます。ぜひ氏のHPをチェックして観に行きましょう。自分がいろいろ書いているのも氏の能力の凄さを知るが故のおねだりレベルです。
とぽけろっちぇのCDも発売されています。
追伸:一つだけ舞台上の振る舞いで気になったのは、手拍子とるときに「手拍子!」と言って手拍子させるのはだいぶいかがなものかと。ものすごい若者が勢いで言う、ぐらいしか通用する文脈はないでしょう。申し訳ありませんが自分は一切手拍子をする気分になれませんでした。アーティストには客を選ぶ権利はありますが、アウェイ気味のお客様への対応としてはいかがか、と南米音楽愛好家として惜しみます。
Comments
YOSHIOさん、歌を歌われたのですね。(o^-^o)
良いですね。聴いてみたかったです。
”EL SOLITARIO”の時にも、是非!!
ケーナ、いろいろな方がいらして奥が深いですね。
いまさらながら思います。
Posted by: Caneton | 2010.12.15 06:07 PM