感想メモ(カラカス・シンクロニカ)+行きたかったライブ+雑感
●カラカス・シンクロニカのライブ(恵比寿ガーデンルーム)招待枠で見ました。
ご提供いただいた皆様に感謝申し上げます。
カラカス・シンクロニカは、正直自分にはアダルトすぎる演奏スタイルで、プラッサオンゼでのアオンダのライブのような情熱系を求める傾向のある自分にはアジャストしない要素もありましたが、「Soltando Amarras」のようにサウンドクリエイションはほとんど高中正義なのにどこかドコドコ感を出して南米的情熱を潜ませる演奏で、このグループの力量と凄みを痛感しました。また「Amore Concreto」というバルスの曲で、「バルスってこんなにリズム強度を上げても様になるんだ」という驚きを味わいました。この2曲は多くの人に聞いてほしい演奏でした。さらに、「TABARA」というGAITA DE TAMBORAというリズムの曲ではリズム活性が高く、歌とパーカスの掛け合いで非常な盛り上がりがありました。
一方、クアトロやマンドリンが前半ほぼリズム・チューニングともに微妙(後半は凄かったが)、ソプラノサックスがずっと音程が上に抜けてチャルメラ感出しすぎ(チャルメラ風を生かすアシッドなアプローチではないので、ちょっとチンドン演奏風のシャープでない感じが出てしまう。ただしクラリネットに切り替えてからはすばらしい演奏)、オリジナル曲の旋律のかなりな歌謡曲な感じなど、このバンドが売り出されるべき「違いの分かる大人向けの、おしゃれと民族的ワイルド感の合わさった音」というスタイルと現実の距離はあるのかな、という率直な感想も持ちました。ただこの感想はもう少しコンディションがよいとまた違った印象かと思います。
あと津軽三味線の澤田勝成氏は流石のパフォーマンス(しかも南米風引き出しもあり)でしたが、(知人だから書きたくないが)マラカスの飛び入りはもっと「エストゥディアンディーナ駒場」の複数メンバーで入るなどして完成度に目をつぶって盛り上げたほうがよかったのではないでしょうか。リズムはよく切れていて見かけよりもはるかに上手い演奏だったのですが、リズムを切ることに専念しすぎて歌や曲の流れもぶった切ってしまっているような悪印象を抱きました。さらに言えば仮にも日本での有料コンサートに飛び入りでも出るならば、もう少し服装や振る舞いなどに気を遣って「芸人感」を出さないと納得度が低いです。(「ここでできて嬉しい」レベルの意識の奏者なら何も言いませんし無視してもらってかまわない指摘をしていますが、今後も演奏をいろいろなところでされたいであろう奏者と見込んで厳しいことを書きました。自分が同じ立場だったらきついだろうな、という感覚はもちろん持った上での「ユーザーに演奏を届ける」ための提言を書いています)
客席はアラブの裕福な階層風の方もいたり、かなり国際社会の社交場っぽい雰囲気で興味深かったです。
…以上、招待されたものの義務として「周りに広める場合どうか」という観点から前向きなことをこれでも書いたつもりです。一応普段とは文体も代えてみました。「お前なんか南米音楽のこと分かっていないんだから黙っていろ。この恩知らずが」と思われるのはご随意ですが、その場合は狭いサークルの中で楽しむから口を出すなというご見解のリスクテークをされるべきでしょう、といういわずもがなのご案内も、あえて申し上げます。
●明日11/13に、本来なら以下のライブに行く予定でしたら、どうにも浮世の義理で参れません。
非常にスリリングであることは間違いないので、皆様いかがでしょうか。
お店自体がかなり面白いところです。
ライブ NEW!
「夏石番矢+笹久保伸」 世界俳句と音楽のコラボレーション
日時 : 2011年11月13日
場所 : ポエトリーカフェ武甲書店
たしか14時ぐらいからのスタートだったのではないでしょうか。
●というわけでなんですが、12/10どうか宜しくお願い申し上げます。
Comments
ご来場ありがとうございました。
飛び入りについてはいろいろと難しい点があるのは承知しています。
今回のコンサートを始めベネズエラ文化週間に関しては単なるコンサートだけでなく、文化交流の側面もあります。その文脈では、音楽家を出すというより、「学生でマラカスがそれなりに振れる人がいることをベネズエラ人によろこんでもらう」ことも念頭に置いた抜擢であったようです。
演奏については聴き慣れない楽器であることや返しが少なくてあまり主線が聞こえていなかったこともありますが、少なくともそれを超えてパフォーマンスで納得させてこその飛び入りだと言うことは肝に銘じておきたいと思います。
貴重な指摘ありがとうございました。いろいろな経験を通して精進させていただきます。
ぜひ11/26のEstudiantina Komaba en 駒場祭も聞きにお越しください。
https://www.facebook.com/event.php?eid=209163155818683
Posted by: Mackie | 2011.11.13 10:27 AM
mackie様、コメント有難うございました。
抜擢の理由、了解いたしました。私は音楽家のパフォーマンスと思って厳しいことを書きましたので、音楽家としての行為の結果ではない、という事情でしたらご放念ください。失礼いたしました。
…ただ有料コンサートとしてみれば、そのようなアナウンスはもう少しなされてもよかったですね。
駒場際には行く予定にはしていますが、その日は微妙です。ともあれベネズエラ音楽が広まることを祈念する気持ちは私も一緒でございます。
Posted by: yoshio | 2011.11.14 09:09 PM