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2012.03.21

第20回アンデス民俗音楽の調べを満喫しました

学生フォルクローレ交流会主催イベントとして首都圏を中心とした大学サークルから出場するチーム、また大学をクロスオーバーさせたチームが出場して演奏するイベントである同イベントを、当日券で鑑賞しました。

もちろんレベルの差などはあったかと思いますが、基本的に大学サークルで演奏されている皆様および周辺の皆様のモラルおよびモラールの高さに襟を正しながら楽しむ、そんな感じでございました。鑑賞者として、500円でここまで楽しめてしまった以上、演奏者としての自分はもっと頑張らなければならないと、仲間たちと誓い合いました。

特に印象に残ったチーム、演奏者を上げます。書かれていなかった方が悪かったということではありませんのでその点ご了解ください。

【BESTチーム】
ねこじゃらし
…名前は少々アレですが、CONDORの音壁の作り方と盛り上げは、完全に音楽を知っている人のディレクションでした。しかも組み立てにいやらしさがなく、演奏への真摯さと情熱がたくみにコントロールされていて神がかりでした。2曲目のBuscando Libertadは盛り上げでもう一段パワーがあれば完璧でしたが、とにかくご自分たちの演奏の録音を聞いてほしいです。きっと今後の活動の励みになるでしょう。

あとこのチームはMCなどに見える音楽への取り組みの姿勢がとにかくすがすがしかったです。震災の影響で中止になった昨年の運営陣としての今年にかける思い、社会の中で自分にとって大切なものを求めてあがくという姿勢の表明…すべてが尊敬に値する水準でした。聴けて本当に嬉しかったです。

【BEST FAVORITEチーム】
MUCHO GUSTO
…ちょっとなめた感じのチーム名でまず印象に残りました。正直管楽器などはこれからでしょうが(ただし2曲目でのしつこいまでのケーナワークは度胸を感じてよかったです)、バランスのよさとリズム楽器が客席にリズムを表現する姿勢に見られた、ほどよく「YOUやっちゃいなよ」とあおる感じなど、好感が持てるチーム。Radical Andes Connectionで対バンに誘いたくなる水準でした。特筆すべきはギター奏者の小細工なしのストロークワーク、これはかなりロックテイストがあって素晴らしかったです。スカウトしたくなる奏者2位でした。

【BEST PLAYER チーム】
Todos Juntos
…ここのケーナ奏者はもっとも上手というか表現力がありました(ゲストも含めて)。それだけに2曲目は踊りやサンポーニャでなくこの方が演奏をしたほうがより旋律が強くなり踊りをうまく支えられたかもしれません。またギターとベースをしていた方は腰弾きで非常にアメリカンロックな感じを受け楽しかったです。途中でフロントに出るステージワークも含めてロック的演奏者として貢献度が極めて高く、スカウトしたくなる奏者1位でした(まじ気が向かれた際に連絡待ってますです)。

【ちょっと意見をもったチーム】
La Estudiantina Boliviana
…エストゥディアンティーナをやろうとした人は過去何人かいらっしゃいましたが、今回は10人以上集まっていました。
コントラバスも含めて人数をそろえるだけで大変なので、企画実行したチーム主催者の意欲は買いたいと思います。
しかし完成度としては、中には現地のMAESTROSなどで活動していた人も多く、ゲストとしてぬきんでた完成度を期待したのですが、期待ほどではありませんでした。演奏が一番上手かったのはあくまで前述の「ねこじゃらし」でした。

正直旋律楽器の音が弱すぎ、とくに1曲目などでケーナの中~低音域でふらつく状態やピッチの調整の甘さについては、日本のケーナ奏者の平均水準を考えればゲストの風上にも置けない演奏に思えました。マンドリンもまったく聞こえず、バイオリンが主旋律のときだけ多少安定する、そんな感じでした。

3曲目のDIABLADA~CHUTAはそれまでよりはよくて楽しめましたが、それはこの楽団の枠組み自体というよりも、枠組みを乗り越えて盛り上げようとしたヴォーカル&ギター部隊の2人を中心とした演奏者、およびPEPINOSの踊りをした人の功績でしょう。ちなみにコンセルティーナはまったく演奏として聞こえませんでした。

主催者としては、コンフント演奏が多いシーンに、自分が経験したエストィディアンティーナをぶち込みたかったのでしょうが、でしたらMCなどに垣間見られる「現地での経験者が正しいボリビア音楽を広める」といった上からアプローチよりも、「俺はこんな音楽をやって嬉しかった」というスタンスをもっとアピールしながら今後活動してほしいと切に思いました。また、音楽を伝える、という抽象的なスタンスだけでなく、たとえば「ねこじゃらし」のみなさんの演奏に対するモラルに見習ってほしいな、とも思います。(その感覚でいうと、超一流奏者でも練習・コンディショニングともに不足している人よりは、無名でもモラル・モラール高く練習する人いお願いするほうが引き締まると思います)

打ち上げで出たチームをよりよくする案は①管楽器を5人以上にする②管楽器を全廃してマンドリンとバイオリンで聴けるようにする③キーボードを入れて旋律の弱体化を防ぐ④もっと簡単な曲を練習して楽団としての音の構成水準を確定させてから活動を再構築する、でした。いかがでしょうか。

…ゲストについてはこれくらいにします。偉そうに言っていますが、震災以降、人前で演奏する人間は、自分の我欲だけでない、なにか自分自身を証明するためのひそやかな闘争と控えめな意見表明を行うというような決意を持つ必要があるように思うのです(これはプロ・アマ問わずです)。自分も今回それを再確認させられましたし、演奏会終了後の仲間内での飲み会でもそのような見解がけっこう出たように思われます。

そんな思いでいたところに、このイベントに出演していた多くの方々が、音楽を聞かせる、だけでなく、音楽を通じて出てしまう自分という人間の何が人前で演奏するに値する要素なのか迷う、そんなことを引き受けながら学生としてさわやかに演奏している姿はえらい魅力的でした。

可能なら現役の人と絡んでそんなしのぎ合いに参加したい、と思うぐらいイベントが魅力的であったとともに、こちらが今後も自分たちの土俵で頑張ることへの応援をいただいた気分でいます。出演者の皆様、裏方の皆様、本当にありがとうございました。今後ともどこかでお目にかかれれば幸いです。お互いにしのぎあいながら向上していきましょう。

追伸:司会の人が後半から激しく素晴らしくなっていました。ラストの挨拶は不覚にもちょっと泣きそうになりました。またMCは南米音楽業界の課題ですが、やや長すぎるチームはあったもののおおむねそれぞれのカラーがいやみなく出ていて良かったように思います。

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