チャランゴの集い評その2+ライブ情報+おまけ情報
…標記の件ですが、時期を逸した感もありますが簡単に出演者別の印象など。
1、石野雅彦さん
サウル・カジェーハスの曲が2曲ありましたが、いずれも冒頭のストロークがとても綺麗。ご本人は「ストロークは得意ではない」とのことですが、それが綺麗に聞こえるのは実力あってのこと。今後自己規制をされず、周りがなんといおうとソロ奏者としてもいろいろな傾向の曲をやっていただけると、よりボリビア音楽を知っている氏の音楽の魅力が伝わると思います。実はYOSHIOとは学生交流会の同期で、応援してます。なお彼の司会はアンデス音楽業界屈指の水準ですが、今回もイベントを成立させるのに重要な役割を果たしていました。
2、岡田浩安さん
チャランゴ奏者として演奏を聴くのは初めてでしたが、MARIO GUTIERREZのMAYAが、いかにもルパイのチャランゴデュオっぽいポジションチェンジの多い綴れ織り的演奏でよかったです。(TOYO草薙さんとのデュオ。ただしもう少し岡田さんがメインをとりまくるとなおよかったかも)
3、荒川美樹子さん
知る人ぞ知る実力者。もっと一般に評価が高くてしかるべきチャランゴ奏者だと思っていますが、そのスキルを今回もFERNANDO TORRICOのAGUAS CLARASで発揮していました(まったく同じ押さえ方をして、曲想に応じて音色を完璧に切り替えるなどの表現力が凄かったです)。 それだけに「石の巡礼」はソロで聞きたかったなという気持ちもあります。(実際はTOYO草薙さんとのデュオ)
4、植月佳奈さん
仙台春チャラの実行委員長、ということはさておき、独自の流麗なチャランゴ演奏でも知られています。今回もPANCHITAでアルペジオからストロークに移る際のスムーズさが見事でした。投手でいうと、球速がそんなに速くないもののストレートとほぼ同じスピードでスライダーが来るタイプ、相当の手練れです。ホルヘ・ミルチベルグの曲も陰鬱感がほどよく出ていてよかったです。これからも自己抑制なしで活躍してください。
5、福田大治さん
ここでコメントをすることもないマエストロ。仙台でもされていたChimba Chicaは完成度と率直さのバランスが非常に誠実でよかったです。伴奏のホセ犬伏さんのギターも、空間を切り出すような音の立ち上げでよかったです。自分自身が残念だったのは、前回書いた居住性の問題などのせいか最後のA SADOで自分の集中力が途切れて気がついたら後半に入っていたことです。
6、鈴木龍さん
ここまでの「発表会」的雰囲気を大幅に緩める独自のキャラクターに基づくテキパキ感を舞台さばきで出しまず好印象。JUKUで破綻のない演奏をしてスキルを見せる一方で、即興性の高い「沈潜」ではパワープレイ気味の展開でしっかりオチをつけていて、仙台のときよりも完成度が高かったです。ギターの小原章裕さんはもう少しリズム活性が高いとなおよいとは思いますが、演奏を成り立たせるための丁寧なサポートだったのではないでしょうか。
7、西川哲さん
今回失礼ながらある意味もっともギャンブルキャストだったし彼にもリスクがあったと思いますが、社会人になってから復活した状況の中、ある意味極北ともいえるトレアルバLOVEで攻めるスタイルでかました演奏は、速球派チャランギスタとしての名乗りに十分な水準でした。彼の先達たちが演奏を聴いて「練習すればできるようになるけど、速い演奏だな」と言っていたように聞こえましたが、先達が練習しなければできない水準の速球を繰り出せたことにまずは自信を持つべきでしょう。特にLA PARTIDAは、途中速すぎてテーマ旋律が聴衆に感じられなくなる箇所はあったものの、かったるいところのない演奏として高水準でした(YOUTUBEにあり)。もう名前売れたので演奏を引退するのは一存ではできなくなったと思います、お互いにジタバタしましょう。
8、TOYO草薙さん
この方も特にコメントする必要のないマエストロですが、前述の西川さんにかなり刺激を受けたようです。VUELO DE CONDORESは速球をコーナーに集める投手のような緻密かつパワーある演奏、率直にすごいと思いました。失礼ながらテクニカルな演奏が比較的多い印象を持っていたのですが、改まりました。あとは密かに往時の日本学生アンデス音楽系で人気があったパチャカマクに入っていた「EL CASTILLO」が懐かしかったです。
…以上お分かりいただけるように、実はさまざまな点から自分は楽しんだイベントでございました。皆様もぜひ次回ご一緒しましょう。
なお出演者でさまざまな階層の方を出してチャランゴの魅力を見せる、というやり方もありだと思います。
今後とも実施とチャランゴ業界の繁栄を祈念申し上げます。
(可能なら自分もなんらかの形で参加できるように修業します)
●演奏予定はかなり各所でありますが取り急ぎ紹介できるものから。
まず、6/23の小松早百合さんの演奏会。相変わらず見事な設定です。いけるチャンスがあればいこうかと思っています。
「120623Gcleff.pdf」をダウンロード
さらに、7/4の岡田浩安さん30周年記念コンサート。19時から日暮里サニーホールです。
実は岡田さんとは同年です。ミュージシャンとしての水準は月とすっぽんスープぐらい違いますが、応援しております。ぜひ皆様お越しください。
(なお岡田さんは、実は多くの方の演奏もお聴きになっています。この姿勢を見習わなければと思っています)
(自分は1985年にケーナを始めたので、30周年は2015年になります。そこまで出来ていればぜひ、と思っています)
★TWITTERやFACEBOOKで東大駒場のESTUDIANTINA KOMABA(略称EK)がBBCスペイン語版に取り上げられた記事がすべての記事中でアクセス数1位となる時間帯が発生する(オバマ関連記事より上だったそうです)など、大騒ぎになっていることが報じられていました。記事はこちら。
アメリカメディアの偏向性があまりにも際立つここ最近、偏向していないとはいいませんが、特にアメリカ系メディアが弱点としている西アジアやアフリカなどに独自の取材網を持つBBCの存在価値は向上していると思われます。自分もここ最近はよくケーブルテレビやHPを見ています(東大駒場キャンパスでもラウンジで放送している場所がありました)し、欧州旅行中は旅行情報も含めて頼りにしています。
BBCスペイン語版では、ベネズエラはその反米的姿勢もあいまって重要取材拠点のはずですし、ベネズエラにとってもBBCは英語圏メディアとして貴重な存在であるはずなので、EKの存在の面白さがBBCの担当者にとってうまくはまった結果取材を受け、さらにこの反響ではないかな、とか勝手に愚考していますが真相は私の知るところではありません。
ベネズエラ音楽に対しては「取り組むのは大変だが、楽しんでいきたい」というスタンスで自分は臨んでいますが、今回の件をきっかけにさらに日本で南米音楽が愛好されていることが伝わるのは、国がどこにしろ喜ばしいことです。
石橋先生の戦略眼と実行力、また石橋先生はじめすべての関係各位の持続の努力に敬意を表します。
6/30には、東大職員・学生優先ですが現地のアーティストを迎えたレクコンがあります。6/29には表参道プラッサ・オンゼにて吉澤陽子さん率いるサテリテのライブがあり、後半はセッションありとのことです。自分は現段階では両方に顔を出させていただく予定にしております。ご一緒する皆様には「腐れケーナ奏者は来るな」などという気持ちは強者の寛容で抑えていただきながら、自分の存在を許容いただきますよう宜しくお願い申し上げます。
Comments
観に来ていただきありがとうございました!
自分の演奏に反省は尽きませんが、
また反省会という名の飲み会を設けさせていただければとおもいます。
よろしくお願い致します。
Posted by: kawa | 2012.06.05 06:57 AM
観に来ていただきありがとうございました。
自分の演奏に反省は尽きませんが、
次はコスキンというところで、よろしくおねがいします。
Posted by: kawa | 2012.06.05 07:00 AM
kawa様、コメント有難うございます。
遅くなりまして申し訳ございませんでした!
その節はお騒がせしました。
これからも反省&悪巧みいきましょう。
コスキンは、ガチで考えましょう。よろでございます。
Posted by: yoshio | 2012.06.09 01:31 PM