今さらですが、「第7回真夏のフォルクローレフェスタ」感想
標記の件ですが、宿題を遅延しまくり感ありありですが、一応メモ程度に記します。まず最初に、このイベントに参加された皆様、特に主催としてパーフェクトに近い仕事をいつもされてしかも押しつけがましくない雰囲気を出しているロス・ボラーチョスの皆様に深い敬意を表します。
非常に申し訳ないのですが、所用が立て込んでいたため、前半のダンサ・エレンシアからしか拝見できませんでした。アルボの皆様とボラーチョスの皆様に深くお詫び申し上げます。
●ケ・セラ・セラ…高校の部活動による演奏ですが、普通に演奏として成立していました。管楽器も息量などの限界によるピッチの上がりなどはありますが、旋律をきっちり最後まで演奏できていて、彼らの経験から考えれば素晴らしい成果です。また男性チャランゴ奏者の方も、すごくうまいとかではないのですが、おいしい見せ場で前に出てくることができる、いわゆるゴール感覚があるタイプの方でした。この感覚はうまくなれば身に付く、という性質のものではない(むしろ技術の上昇とともになくすことさえある=特に日本人奏者において)ので、ぜひその感覚を大事にしていただければと思いました。とにかく「将来楽しみ」ではなく、今すでに演奏を見て一定の楽しさがあるユニットでした。
●ダンサ・エレンシア…後半のマランボがよかったのですが、足元を見せるオーロラビジョン、ないしマランボ部分だけでも客席のセンターでやってみせるなどの対応があるとなおよかったかなと思いました。
●ルセリート…一番期待値を上回ったチームです。冒頭のテーマ曲はかなり乱暴ですが、これがいい意味での開き直りを生んでいて、とにかく見ていて楽しそうでこちらも楽しくなる、という感じでイケてました。AMORES HALLARASのような曲でも場がもっているのは彼らの力量でしょう。またアルパの方がいつもにこにこしているのが、変な言い方ですが「ツキを逃さない」効果を発揮していました。社会人チームの在り方の一つの模範だと思われます。リーダーの石野氏のチャランゴでの組み立てもかなりのハイレベルでした。
●ソーサス…前半は音バランスなどどうなるかと思いましたが、ラスト2曲(CINCO SIGLOS IGUAL、TODO CAMBIA)非常によかったです。歌メイングループでこのコンセプトで行くには、メルセデス・ソーサということでメインとして期待される女声とコーラスが予測される男声の決定力の格差などは課題になるかと思われますが、今後歌担当が交代でメインを務めるなどの工夫をするなどして、長く活動を継続してほしいと思います。あとここのケーナは伴奏では惜しいと思うほどの高水準です。
●Yasuhiroと仲間たち…仙台の名ケーナ奏者高橋泰宏氏と東京の名ケーナ奏者福田一弘氏が組んだユニットなので、いわゆる大外れはないに決まっていて音楽水準はいうまでもなかったです。自分にとっては、期待していたSICOYASよりもさらにAMANECER ANDINOで高橋さんのようなド正統派ケーナ奏者がエアケーナをルシアーノ調に決める姿勢にリスペクトを感じて涙しました。
…イベント全体としてみると、損する余地がないイベントなのですが、では「アンデス音楽を知らない知人を連れてくる」という観点ではどうかというと、踊り出す感じとかの内輪感がTOO MUCHな人もいるだろうというのが率直な感想です。このメンバーでまずホールコンサートをやって、それから同じメンバーでこのイベントをやると素晴らしすぎるのですがいかがでしょうか。音楽的達成度から考えると、より多くの人に聞いてほしいという願いも正直持ってしまいます。それだけボラーチョスの皆様の運営能力が高いのだと思いますが。
あと、司会の方が妙に「一定の年齢の女性が、自分のスタンスにたってMCする」という姿勢が顕著に感じました。自分の昔からの知り合いだと内輪感をためらわず出し、自分より年下だと「お肌にしわひとつない」(高校生バンドに向かって)、「青春を感じました」(社会人として苦闘しているメンバーが中心のチームに対して)という「さかさまにゆかぬ年月よ」的トークをするというのは、観客としては納得度が低かったです。もう少し出演者をきちっと紹介する、演奏者に寄り添う姿勢でやっていただいたほうがイベントの価値がさらに高まると思いますがいかがでしょうか。個人的にはボラーチョスの皆様にやっていただいたほうがよいかな、と愚考いたしました。
※この段落の発信は、司会はどこでも(自分のイベントでも)課題ですが、少しでも一般の音楽イベント的な水準に全体が上がっていけば、さらにアンデス音楽も広まるかな、と考えでございますので、問題意識の喚起ぐらいにうけとめていただけると幸甚です。
…ともあれ、出演者・運営者の皆様本当にお疲れさまでした。
追伸:自分は2次会に厚かましくも参加して「MI QUENA」など演奏させていただきました。Y氏のギター伴奏などをいただきとても光栄でした。高橋さんにははるかに劣るもののルシアーノヲタとして今後も精進します。
Comments