12/9/4の日記(笹久保伸氏ライブ)+おまけ
●9/4(火)
昼はひょっとこ屋でロースかつ定食。それなりだが鰻の価格が下がることを祈念。
夜は銀座線わきの神戸屋でフィッシュサンド買い食いしてから南青山MANDALAへ、笹久保伸氏のレコ発ライブ。
笹久保氏とは何の関係もない話だが、レコード会社や事務所が運営の主軸になるタイプのライブでこのハコだと、従業員は丁重だが4000円払った(ただしワンドリンク付)有料客には「自由席なんでお好きなところに座ってください」と放置ぎみな脇を、「こちらへぜひ」みたいな感じで複数の人間がついた招待客がすり抜けていく感じになるのであんまり好きな雰囲気ではない。
(邪推ついでにいえば、南米音楽関連の運営系の人は、知り合いでない普通の客へは目礼もしない、などのホスピタリティに欠けるケースが散見される。昨年のマリアナ・バラフのときは某雑誌系の運営にそれを感じた記憶がある。芸能系のエグみを少し見習ってほしいと、アーティストでなくサポートの人々に対して切に思う)
まあ住む世界に違いがあるのであろうから、今度からレコ発ライブ、ラティーナ主催ライブ、などでこのハコに来るのは、ひがみっぽい気分になりがちな折には控えようと思う。
さてコンサートとしてだが、自分としてはこのときなどよりは感動しなかった。
今回のセットは民謡寄りだったが、自分は現代音楽とペルー民謡が適度に混じったセットのほうが氏のギターの強度を存分に楽しめると感じた。
全般にギターの音は深くてきれいだが、氏の勢いを示すアタック音などが丸められているかのような邪推をもった。イルマ氏が入ったセットはとてもバランスがよく、特に高音がすっぽぬけがちな小型チャランゴとイルマ氏の声をうまくからませていたNegra del Almaでは「音響すげー」とか普通に思いましたが、ギター単体だと、自分としてはこのようなクワイエットな感じよりも強くて大きいPAのほうが好み。特に氏の技法の特徴のひとつであろう、低音のアルパ風の打突音などがちょっと「遠い」感じが自分としては「?」であった。
私は笹久保さんのことを地域や時代を受け止めて乗り越えた半端なくロックなギタリストだと思ってこのように述べているが、それはこちらの勝手な思い込みなので、以上も以下も有料で見たヲタのタワゴトとして処遇ください。
演奏としては前半の冒頭、AUKI AUKIと花祭りを即興風にコラージュした曲の、花祭りでない部分のハイコードのまぶし方がびしびし来ていてクール。前半ではそれに加えて、自作曲の「月の花」のオリエンタルな展開のちらつかせ方がセクシーであったのと、「耕す者への祈り」のある種明快な旋律の曲を真摯に南米的コードタッチで気高く表現する様子がてっぺん。
後半ではイルマ氏とのセットではCarnaval Ayacuchano~Torilでの両者の存在感が素晴らしいのと、Mayu Sonido~Tankarchayでの、笹久保氏特有のペルー的パワーハイコードの響の美しさ、さらにLa Piraguaでのリズムに聴衆をいざなう雰囲気が楽しめたのが聞き所であった。
ここ最近笹久保氏のライブを聞いていなかったが、氏はもっとすごいライブをびしびしやれる人だと思うので、今後演目などを検討しながらまたぜひ、可能ならもっと「生っぽい」ところで聞きたいと思う。
ライブ運営でクレームをひとつだけ言うとすれば、勝負曲っぽいTORO MATAの間、後ろの席で子どもがずっとしゃべっていたのがきつかった。子どもの泣き声よりもしゃべり声のほうがイラッとすることに気づいた度量のない自分。
終了後は邪魔にならないようにそそくさと帰り、新橋駅裏の吉野家で牛丼。ここの牛丼はなぜか他の店より旨い。
…笹久保氏のCDを聞いてみようという方は、老婆心ながらまず「ジョン・ダウランド・リターンズ」をオススメします。あれはガチ傑作アルバムです。その後は曲目で興味を引かれた物を聞いてみるというのはいかがでしょうか。
※明日というか本日(9/8)は、音楽仲間とサルーキ=のライブに行きます。待ち合わせ場所は渋谷タワレコの笹久保伸コーナーです。
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